【企業向け】再生紙を使った製品の導入ガイド|メリット・デメリットと選び方を解説

再生紙の活用は、資源循環や廃棄物削減などの環境効果に加え、企業の信頼性向上や従業員の意識改革にもつながります。
この記事では、企業担当者に向けて再生紙を紹介しつつ、認証マークや用途適性など、選定基準も解説します。
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1.再生紙を使った製品とは?種類と基本情報について

ここでは、再生紙を使った製品の種類とそれぞれの特徴を解説します。
(1)再生紙の定義と種類
再生紙とは、一度使用された紙(古紙)を回収・処理し、新たな紙製品として再利用したものを指します。
環境配慮型素材の代表例として注目を集めています。
| 種類 | 原料・特徴 | 代表的な用途 |
| 上質再生紙 | コピー用紙などの高品質古紙を再利用 白色度が高く印刷適性も良い | 名刺・パンフレット・報告書など |
| 新聞再生紙 | 新聞古紙を主原料とする インクの色味が残りやすくグレーがかった色調 | ノート・メモ帳・チラシなど |
| 雑誌再生紙 | 雑誌や書籍を原料にする 比較的白く滑らかな質感 | 封筒・冊子など |
| 非木材パルプ混合再生紙 | バガス(サトウキビ残渣)や竹など非木材素材を併用 | 包装紙・エコ文具など |
再生紙は、古紙配合率や漂白処理の有無によって、色合いや触感などが異なります。
そういった傾向から、再生紙の種類によって主な用途がある程度決まっていることが一般的です。
(2)再生紙が製造までのプロセス
再生紙は、工程ごとに精密な処理が行われます。

再生紙が製造までのイメージ
回収 → 選別 → 脱墨 → 再生(抄紙)
このサイクルを繰り返すことで、森林資源の消費を抑えつつ、紙の廃棄削減を実現します。
(3)再生紙に関する認証・マークについて
再生紙製品を選ぶ際は、環境配慮の客観的な証明となる認証マークを確認することが重要です。これらのマークは、製品が一定の環境基準を満たしていることを示します。
| マーク名 | 概要 | 判定基準のポイント |
| 古紙利用マーク | 古紙パルプを一定割合以上使用した製品に表示 | 古紙配合率や品質基準を満たしているかを確認 |
| エコマーク(日本環境協会) | 原料から廃棄まで環境負荷が少ない製品に付与 | ライフサイクル全体で環境配慮がなされているか |
| グリーン購入法適合商品 | 公共調達で優先的に採用される環境基準適合製品 | 古紙配合率や漂白剤使用の有無など法的基準を満たすこと |
公共調達や大量導入では、これらのマークが採用可否を左右する重要な判断基準となります。
参考:https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/pamphlet/pdf/pamphlet_mark_gimu.pdf
(4)再生紙製品に関する動向
企業のサステナビリティ経営が進むなかで、再生紙製品の導入が拡大しています。
背景には、SDGs目標12「つくる責任つかう責任」に基づく資源循環への意識向上や、グリーン購入法による環境配慮型製品の調達義務化が挙げられます。
さらに、製紙技術の進歩により白色度や印刷適性が向上し、ビジネス用途にも十分対応できる品質が実現しました。
| 区分 | 内容 |
| 対象製品 | コピー用紙、帳票、包装紙など |
| 評価項目 | 古紙配合率、漂白剤使用、水・エネルギー使用量 |
| 目的 | 資源循環促進、廃棄物削減、化学物質抑制 |
再生紙は、企業の環境責任を象徴する素材として重要性を増しています。
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/kami.pdf
2.デメリットは?再生紙が環境に悪いといわれる理由

再生紙は環境に優しい素材として知られていますが、製造工程や品質管理の内容によっては環境負荷を高めてしまう場合もあります。
ここでは、再生紙が「環境に悪い」と指摘される主な理由を解説します。
(1)製造段階で多くのエネルギーと水を消費する
「脱墨(だつぼく)」工程では、インクや糊などの不純物を除去するため、大量の水と薬剤が必要となり、洗浄や水質処理にもコストがかかります。
そのため、再生紙の製造エネルギーは新紙と比較して必ずしも低いとは限らない場合があります。
ただし、近年は水循環システムの導入や薬剤使用量の削減などの企業努力によって環境負荷が軽減されつつあります。
(2)品質の低い再生紙製品は排水処理に支障をきたす
再生紙の環境性能は、製造段階の品質管理に大きく左右されます。
脱墨処理が不十分な場合、紙に残るインクや薬品が排水に混入し、下水処理施設の微生物バランスを崩して水質汚染の原因となることがあります。
また、原料選別や洗浄を省いた低品質な再生紙では、インク残留などにより汚泥の発生量が増え、処理コストが高まるケースもあります。
(3)繊維の劣化により再利用できる回数が限られる
再生紙は環境に優しい素材ですが、繊維(セルロース)が劣化するため無限に再利用することはできません。
一般的に、再生できるのは4〜6回程度が限界とされており、多くのメーカーではバージンパルプを一定割合で混合し、強度や滑らかさを補っています。
3.それでも再生紙を使うメリットとは?

再生紙の利用は、森林資源の保全や廃棄物削減といった環境面の貢献にとどまりません。
ここでは、再生紙を導入することで得られる企業のメリットを解説します。
(1)森林資源の保全と廃棄物削減に貢献できる

再生紙の最大のメリットは、森林資源の保全と廃棄物削減につながる点です。
紙は木材由来のパルプを原料とするため、再生紙を利用することで新たな伐採を抑え、森林や生態系の維持に貢献します。
また、使用済みの紙を再利用することで、焼却・埋立処分に回る紙ごみが減少し、温室効果ガス排出や最終処分場の負担を軽減します。
このように、再生紙は「資源の入り口(伐採)」と「出口(廃棄)」の両面で環境負荷を低減する素材です。
(2)木材パルプなどの輸入依存を減らせる
再生紙の活用は、木材パルプなど海外資源への依存を抑える手段として注目されています。
日本の製紙業は原料の多くを北米・東南アジアからの輸入に頼っており、森林保全政策や為替変動の影響を受けやすい構造です。
しかし、国内で回収した古紙を再利用すれば、原料供給の安定化と調達リスクの軽減が可能になります。
地域内で回収・加工・販売が循環することで、経済効果やサプライチェーンの強靭化にも寄与します。
(3)製造技術の進化により品質が向上している
以前は「再生紙は色がくすむ」「手触りが粗い」といった使用感が一般的でしたが、脱墨や漂白、繊維均質化技術の進化により品質は大幅に改善されています。
用途別に最適化された製品も多く、インクジェット対応紙や名刺・封筒用紙など、実用面でも幅広く採用されています。
ナチュラルな質感やデザイン性を活かした商品も増加し、環境配慮とブランディングの両立を実現しています。
(4)企業の環境配慮姿勢を可視化できる
CSR・ESGが重視されるなか、再生紙をパンフレットや名刺、パッケージに採用することは、以下のように環境配慮を示す具体的な行動となります。
| 効果の種類 | 内容 | 期待される成果 |
| 社外的効果 | 認証マークなどを通じた環境配慮の発信 | ブランド信頼性・企業価値の向上 |
| 社内的効果 | 各部署での環境意識の共有・行動促進 | サステナブル文化の定着 |
このように、再生紙の採用は「経営理念」と「日常業務」をつなぐ実践的なサステナビリティ施策といえます。
4 .企業で使える!再生紙を使った製品の代表例
(1)(コピー用紙)コクヨ 再生紙 A4 500枚 低白色再生紙 PPC用紙 KB-SS39

「コクヨ 低白色再生紙 PPC用紙 KB-SS39」は、古紙パルプ70%以上を配合した環境配慮型のコピー用紙です。
目にやさしい低白色で社内資料や配布物の大量印刷に適し、レーザー・インクジェットの両方に対応しています。
中性紙仕様のため、長期保存にも比較的適しています。
| 特徴 | 低白色で見やすい |
| 価格帯 | 1,162円(税込) ※(2025年11月時点Amazon情報) |
| 製造メーカー | コクヨ(KOKUYO) |
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(2)(付箋)ポスト・イット 再生紙付箋

「ポスト・イット® 再生紙ふせん」は、古紙パルプ100%を使用した環境配慮型の付箋です。
やわらかなパステルカラーで文字が見やすく、オフィスでのメモや伝言などに活用できます。
通常の粘着タイプで、繰り返し貼ってはがせる使い勝手の良さも魅力です。
| 特徴 | パステル調で見やすく、通常粘着タイプ |
| 価格帯 | 1,655円(税込) ※(2025年11月時点Amazon情報) |
| 製造メーカー | スリーエム(3M) |
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(3)(メモ帳)コクヨ メ-40 メモ 125×88mm 再生紙 76枚

「コクヨ メ-40 メモ 125×88mm 再生紙 76枚」は、古紙パルプ100%を使用した環境配慮型のメモ帳です。
滑らかな書き心地であり、インクのにじみが少なく読みやすい筆記面が特徴です。
コンパクトなサイズでデスクやカバンに収まりやすく、会議メモや外出時のちょっとした記録にも便利です。
| 特徴 | 滑らかな書き心地で、持ち運びにも便利なサイズ |
| 価格帯 | 84円(税込) ※(2025年11月時点Amazon情報) |
| 製造メーカー | コクヨ(KOKUYO) |
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(4)(名刺紙)A‑one 名刺 マルチカード 再生紙 1000枚分 51369(古紙パルプ配合率80%)

「A-one 名刺 マルチカード 再生紙 51369」は、古紙パルプを80%使用した環境配慮型の名刺用紙です。
再生紙ならではの自然な質感が特徴で、印刷面は発色が良く、インクジェット・レーザープリンターのどちらでも鮮明に印刷できます。
社内での大量印刷にも適しており、コストを抑えながら企業のサステナビリティ意識を名刺デザインで表現できます。
| 特徴 | インクジェット・レーザー兼用で、大量印刷にも対応可能 |
| 価格帯 | 2,736円(税込) ※(2025年11月時点Amazon情報) |
| 製造メーカー | エーワン(A-one) |
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(5)(封筒)カウネット 再生紙100%クラフト封筒 長3 70g 100枚入り

「カウネット 再生紙100%クラフト封筒 長3」は、古紙パルプを100%使用した環境配慮型のクラフト封筒です。
再生紙ながら耐水性を備えており、日常的な社外文書の郵送にも安心して使用できます。
A4用紙を三つ折りでちょうど収まる長3サイズで、事務処理や請求書発送など幅広い用途に対応しています。
| 特徴 | 強度と耐水性を兼ね備えたクラフト封筒 |
| 価格帯 | 631円(税込) ※(2025年11月時点Amazon情報) |
| 製造メーカー | カウネット(Kaunet) |
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5 .企業が再生紙製品を選ぶ際のポイント

ここでは、企業が再生紙製品を選ぶ際のポイントを解説します。
(1)再生紙の配合率と品質基準を確認する
再生紙を選ぶ際は、古紙パルプの配合率と品質基準を確認することが基本です。
配合率が高いほど環境貢献度は上がりますが、強度や白色度が下がる場合もあるため、使用目的とのバランスを見極めることが重要です。
| チェック項目 | 内容の目安 |
| 白色度 | 高いほど印刷が鮮やか・資料用途では80%以上が理想 |
| 不透明度 | 裏写り防止に重要・両面印刷を行う場合は高めを推奨 |
| 紙厚・強度 | 用途に応じた厚みを確認・冊子や包装紙では特に重要 |
| 印刷適性 | 使用機器(レーザー・インクジェット)との相性を確認 |
これらを総合的に判断すれば、環境配慮と業務品質を両立した再生紙選定が可能です。
(2)認証マーク・環境ラベルを確認する
認証マークや環境ラベルの有無は、第三者機関による評価を受けた証拠であり、製品の信頼性や企業の環境配慮姿勢を客観的に示す指標となります。
| マーク名 | 発行機関・概要 | 主な基準・特徴 |
| FSC®認証 | 森林管理協議会・適正な森林管理と持続可能な木材利用を保証する | 違法伐採防止、生態系保全、労働環境への配慮を評価する |
| エコマーク | 日本環境協会・製造から廃棄まで環境負荷を総合評価する | 資源循環、省エネ、化学物質削減などを基準 |
| 古紙利用マーク | 古紙を一定割合以上使用した製品に付与 | 古紙配合率や品質基準の達成を条件とする |
| グリーン購入法適合表示 | 国・自治体が定める調達基準 | 再生紙率・漂白剤の種類など法令条件を満たす |
認証取得製品を選ぶことで、環境配慮と法令遵守の両立が可能になります。
(3)紙種が使用目的に適するかどうか
再生紙は、コピー用紙・封筒・メモ帳などでは求められる特性が異なり、用途に合わない紙を使うと印刷ムラや紙詰まりの原因となります。
| 使用用途 | 適した再生紙の特徴 | 選定時のポイント |
| コピー用紙・社内資料 | 白色度が高くインク定着性に優れた上質再生紙 | 両面印刷対応の厚みと滑らかさを確認 |
| 封筒・カタログ・包装紙 | 強度が高く破れにくい中質・クラフト再生紙 | 耐久性・透けにくさ・質感を重視 |
| ノート・メモ帳・伝票 | 筆記性に優れペン先が引っかかりにくい | 筆記具との相性を確認 |
| パンフレット・会社案内 | 白色度と発色性のバランスが良い高級再生紙 | カラー印刷の鮮明さと質感を確認 |
再生紙には多様な種類があり、目的に応じて選ぶことで機能性と環境配慮を両立できます。
(4)コストと環境効果のバランスを考慮する
再生紙は、製造工程での脱墨処理や品質維持にコストがかかるため、短期的にはバージンパルプ紙より高価になる場合があります。
しかし、CO₂排出削減・廃棄物削減などの環境効果や、企業価値向上・CSR評価の強化といった長期的なリターンを考慮すると、再生紙は戦略的な投資といえます。
| 比較項目 | バージンパルプ紙 | 再生紙 |
| 初期コスト | 比較的安価 | 若干高い場合も |
| 環境負荷 | 木材伐採・CO₂排出が多い | 資源循環・CO₂削減に貢献 |
| 企業評価 | 一般的な調達 | CSR・ESG評価でプラス要素 |
| 長期的効果 | 価格重視 | 持続可能性・ブランド価値を強化 |
導入時は価格だけでなく、環境・社会・経済の三側面での総合的な効果を基準に判断することが重要です。
(5)サプライヤーの環境方針を確認する
環境配慮を体系的に実践しているサプライヤーを選ぶことで、製品の信頼性だけでなく、調達全体のサステナビリティも高められます。
| チェック項目 | 確認ポイント |
| 環境方針・CSR報告 | サステナビリティレポートを定期的に公開しているか |
| 再生資源の調達ルート | 原料のトレーサビリティ(追跡可能性)が確保されているか |
| 環境マネジメント認証 | ISO14001・エコアクション21などを取得しているか |
| 製造工程での環境配慮 | 排水処理・省エネ・脱墨処理の改善に取り組んでいるか |
信頼できるサプライヤーを選ぶことは、自社のCSR・調達ガイドライン強化にも直結します。
6.再生紙のトイレットペーパーは危険って本当?

再生紙の製造工程で蛍光増白剤が使用されるものの、その残留量は極めて少ないため、古紙の利用は推進すべきという見解が一般的です。
ただし、環境省によると「蛍光増白剤の使用は極力削減することが望ましい」とも提示されています。
消費者の選択が白いトイレットペーパーに傾けば、その分蛍光増白剤や染料の使用量が増加する可能性が高まるため、日本国内に流通する再生紙製品の環境負荷を抑えるには、色の白さよりも「原料由来」や「再生率」といった観点で選ぶことが重要といえます。
※出典:https://www.env.go.jp/press/files/jp/781.html
7.まとめ
再生紙の導入は、企業の環境配慮の視線を示せる戦略的な取り組みにつながります。
エコマークやグリーン購入法適合商品などの認証を活用すれば、環境配慮の姿勢を社内外にわかりやすく示すことも可能です。
この記事で紹介した選定基準と再生紙製品を参考に、環境にも人にもやさしい持続可能な環境づくりを推進しましょう。