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管理職の退職後に後任がいないときの打開策|引き継ぎ完了までの流れ、注意点等を解説 | ナカハラポートフォリオ

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管理職の退職後に後任がいないときの打開策|引き継ぎ完了までの流れ、注意点等を解説

管理職の退職後に後任がいない場合には、経営者が冷静に状況を整理し、計画的に引継ぎと後任の確保を進めることが重要です。しかし「後任が見つかるまでどうすればいいのかわからない」という経営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、管理職が突然退職した際の適切な対応と、引継ぎ完了までの流れを解説します。

管理職の退職後に後任がいない場合の注意点

ここでは、後任がいないなか、新たな人材に管理業務を引き継ぐ際に注意すべきポイントについて解説します。

無理な引き止めは絶対にしない

就業規則で退職ルールを独自に定めていたとしても、法律(民法第627条)が優先されます。
そのため会社が一方的に退職を拒否することはできません

しかし、会社と退職希望の管理職の双方に最善の結果へ導くことは可能です。適切な引き止め方法についてはこちらで解説していますので退職予定の管理職社員の引き止めに迷っている場合にはご覧ください。

後任がいない状態を放置した場合のリスクを認識しておく

リスクを知ったうえで対策を立てれば、より正確で実行力のある引き継ぎ計画が作れます。以下のようなリスクを想定しておくことが重要です。

  • 取引先対応を含めた業務管理
  • 部下の業務への悪影響
  • 取引先への悪影響

管理職の退職をきっかけに、社内のモチベーション低下連鎖退職といった二次的な影響も起こり得ます。これらを未然に防ぐためにも、事前にしっかりリスクを整理しましょう。

管理職の突然の退職から引き継ぎ完了までの流れと対処法

ここでは、管理職の後任がいない状態で退職の申し出から新しい管理職に引継ぎ完了までを順追って解説します。以下の目次から直接ご確認いただきたい部分だけを見ることも可能です。

退職申し出当日〜1週間以内:初動対応

退職理由のヒアリングと引き留めの可否を判断

まずは、感情的な決断なのか、熟考の結果なのかを見極めることが重要です。
感情的な判断であれば適切な引き留めが有効な場合があります。以下の表では適切な引き留めが有効かどうかを表で確認いただけます。

適切な引き留めが有効引き留めても効果があまり期待できない
業務負担の偏りによる疲弊
→役割の見直しやサポート強化
報酬や待遇への不満
→現実的な範囲での調整
一時的な人間関係のトラブル
→調整やフォローによる解決
・就職先が決まっている場合
・職場環境への強い不満が原因の場合

適切な引き留めとは、退職を希望する管理職の不満や悩みを理解し、会社側が現実的に改善できる範囲で対応することです。

一方で退職の意思を正式に確認した場合には、1〜2ヶ月の引継ぎ期間を確保できるよう交渉しましょう。
業務の引継ぎ完了をスムーズに進めることが円満退職につながる」 と伝えると、退職希望者から協力を得やすくなります。

社内の引継ぎ計画などを具体的に立案

次に、管理職が担当している業務から、影響度の高い業務から優先的に引継ぎ計画を立てます。なかでも、以下の業務は一般的に引継ぎが難航しやすいため、重点的に対策を講じる必要があります。

  • 経営判断が必要な業務
    例:プロジェクト管理、重要な取引先対応、コスト管理
  • 社内調整が必要な業務
    例:部下のマネジメント、他部署との連携、社内会議の運営
  • 引継ぎに時間がかかる業務
    例:専門知識が必要な業務、特定のノウハウに依存する業務

業務を細分化し、誰に・どの順番で引き継ぐかを明確に決めることで、社内業務の停滞を防ぐことができます。

加えて、管理職社員の後任は、社内昇格・配置転換で対応するのか、新規採用が必要なのかを早急に判断する必要があります。

  • 社内で適任者がいる:早めに打診し、育成計画を立てる
  • 適任者がいない:すぐに採用プロセスを開始し、短期的な代替策も検討

管理職ポジションは適任者の採用に時間がかかるため、短期・長期の両面で計画を進めることが重要です。

また、管理職社員の求人に際してコーポレートサイトとは個別に採用サイトを構築することも有効です。採用サイトの適切な運用で、自社にあった人材をなるべく低コストで集めることができます。

>>採用サイト個別運用のメリットデメリット、運用後のポイントの記事を確認してみる

1週間〜1ヶ月以内:引き継ぎと一時的な管理体制の構築

この期間では、業務の引き継ぎを進めると同時に、後任が確定するまでの暫定的な管理体制を整備することが重要です。

必要に応じて管理職の代行者を一時的に指名する

後任が確定するまでの間、業務の遅延や混乱を防ぐため、一時的な代理人(代行者)を指名することが一般的です。一時的な代理人は以下の3つのポイントになるべく該当する人物が望ましいです。

  • 業務の流れを理解している
  • 現場の士気を維持できる
  • 独断で進めすぎない

代行者の選定に時間をかけられない場合には、複数名で管理業務を明確に分担することも検討しましょう。たとえば、業務管理はA氏、部下のマネジメントはB氏といった形で役割を分けることで、負担を軽減できます。

候補者がいれば育成計画を立案し、後任を確保する

社内に後任候補がいる場合は、計画的に育成を進めることが重要となります。後任の育成計画に関しては以下のポイントを参考にしてください。

後任の育成計画に関するポイント

  • 経営視点を持てるかを重視して選定
  • OJT・メンター制度・権限委譲を組み合わせた育成計画を実施
  • 育成期間中に適性評価を行い、最終決定を慎重に行う

退職日直前:業務の最終引き継ぎと社外対応

退職日直前には、最終的な引き継ぎと社外対応を完了させ、退職後の業務継続に支障が出ないようにすることが重要です。

取引先や社外関係者へ担当変更の通知を実施する

管理職社員の退職日から1〜2週間前に社外関係者に向けて担当変更の通知を実施します。

通知が早すぎると取引先に無用な不安を与え、遅すぎると業務の引き継ぎが間に合わなくなる可能性があるため、最適なタイミングでの対応が求められます。

スムーズな業務引き継ぎを実施する

新任の管理職がスムーズに業務に適応できるよう、必要な情報を整理し、適切な引き継ぎを行うことが重要です。おおまかな引き継ぎ内容は、以下のとおりです。

業務の全体像の共有業務内容や役割、担当範囲を明確にする
日常業務の手順定例会議の進め方、報告業務のルールを説明
関係部署との連携他部署との調整事項を事前にリスト化

引き継ぎの際は、マニュアルや業務フローを文書化しておくと、後任者がスムーズに業務に馴染むことができます。
クラウド共有で関係者が随時アクセス可能な状態にしておくと、円滑な業務を推進できるでしょう。

管理職の突然の退職は予防できる?よくある退職理由と具体的な予防策

管理職の突然の退職は、企業にとって業務の停滞や人材流出を招く深刻な課題です。しかし、その多くは事前に予兆があり、適切な対応をすることで防ぐことが可能です。

ここでは、管理職が退職を決意する主な理由を整理し、どのような対策を講じるべきかを解説します。

管理職が突然の退職を決意する理由

管理職が突然の退職を決意する理由をまとめると、主に以下のような内容が挙げられます。

  • 過度な業務負担
  • 給与や待遇への不満
  • 経営層と現場のギャップ
  • 職場の人間関係
  • 将来的な不安

以下ではそれぞれを簡潔に解説します。

過度な業務負担

実際、厚生労働省の調査(令和4年)によると、仕事に強い不安・悩み・ストレスを抱える労働者の割合は82.2% にのぼります。
さらにそのストレスの原因として仕事の量が36.3%と最も多く挙げられており、業務負担の重さが職場のストレスに直結していることが明らかです。

給与や待遇への不満

同業他社との待遇差や、昇給・昇格の基準が不透明な場合も、転職を考える要因になります。

また近年では「働きやすさ」も待遇に含める場合が多いため、給与などの調整が難しい場合には労働者目線の働きやすさを追究することも有効です。

経営層と現場のギャップ

経営層が現場のリソース不足業務の逼迫状況を十分に把握しないままKPIを設定すると、その負担は管理職に集中します。

現場の状況と乖離した目標が設定されると、管理職は「達成不可能な目標を押し付けられている」と感じ、強いストレスを抱えることになります。

職場の人間関係

人間関係の摩擦は、管理職本人から明言されることが少なく、経営層に伝わりにくい問題です。

たとえば業務フローが不明確な場合、管理職間や部下との摩擦が生じやすく、それが管理職の定着率に影響することもあります。

部下との対立、経営層との価値観の違い、他部署との調整負担が過度に大きい環境では、管理職の精神的負担が増し、突然の退職につながるリスクが高まります。

将来的な不安

管理職は、自身のキャリアと会社の将来を冷静に観察しており、事業の成長性や経営方針が見えにくい状況が続くと、転職を決断するケースが増えています。

実際、厚生労働省の「転職者が直前の勤め先を離職した主な理由(令和5年)」によると、男性の自己都合退職理由の中で「会社の将来に不安を感じた」が31.0%と最も多い割合を占めています。

このデータからも、企業の安定性や成長性が管理職の離職に直結していることがわかります。

経営者がすぐにできる予防策

管理職の突然の退職を防ぐために、経営者がすぐに取り組める施策は以下のとおりです。

  • 業務の属人化を予防する
  • 評価制度を見直す
  • 経営陣と管理職のコミュニケーションを強化
  • 社内のハラスメント対策や相談窓口を整備
  • キャリア形成を支援する

具体的な方法を以下で解説します。

業務の属人化を予防する

特定の管理職に業務が集中し、「その人にしかできない仕事」が増えると、長期的にも管理職本人の負担も大きくなります。

属人化の予防には、以下のような業務の標準化の推進や分散化などが有効です。

業務の標準化業務マニュアルの作成やSOPの整備など
業務の分散化チーム制の導入やペアワークの推奨など
DXの活用現場管理のデジタル化や業務マニュアルのデジタル化など

評価制度を見直す

評価制度において、以下のようなケースに該当する場合は、見直しを検討すべきです。

評価制度が原因で退職リスクが高まるケース

  • 業績評価のみで、プロセスや組織貢献が考慮されていない
  • 評価基準が曖昧で、管理職自身が何を求められているのか分からない
  • 昇給・昇格のルールが不透明で、将来のキャリアが見えない

評価の見直しでは成果や貢献を正しく可視化し、評価基準を明確にすることが重要です。

経営層と管理職のコミュニケーションを強化

経営層と管理職のコミュニケーションが不足すると、自分だけが苦労していると悩みやすくなります。経営層が管理職とのコミュニケーションにおいて意識すべきポイントは、以下のような施策が挙げられます。

施策具体例
定期的な1on1ミーティングの実施・現場の実態を直接聞く機会を作る
・日常的に相談できる関係性を構築する
経営方針や会社のビジョンを明確に伝える・経営方針を管理職に説明する
・管理職が自分の役割を明確に理解できる環境を整える
管理職の意見を経営判断に反映する仕組みを作る・現場の声を吸い上げる場を設ける
・管理職が積極的に発言できる環境を作る

社内のハラスメント対策や相談窓口を整備

社内のハラスメント対策を整備するには、以下のように客観的な判断でハラスメントの線引きができる環境を構築することが大切です。

ハラスメントの定義を社内に周知・「何がハラスメントにあたるのか?」を経営層も含めて正しく理解する
就業規則にハラスメント禁止の方針を明記する
個別で相談できる環境を構築第三者機関の相談窓口を活用し、匿名でも相談できる仕組みを作る
管理職が経営層以外にも悩みを打ち明けられる環境を整備
定期的なヒアリングを実施・日常的に管理職のメンタル状態を確認する場を設ける

キャリア形成を支援する

管理職の突然の退職を防ぐためには、会社として長期的なキャリア形成を支援することも重要です。

管理職は現場の業務を主体的に担っていますが、将来への不安を抱えやすい立場でもあります。
たとえば、役職ごとの昇進基準などを明文化し、「〇年後にはこのポジションを目指せる」といった具体的な指標が有効です。

管理職の退職後に後任がいないときの最悪のケースとは?

ここでは、後任がいない状況で管理職が退職すると起こり得る最悪のケースについて詳しく解説します。

管理職が心身の不調で突然退職するリスク

メンタルヘルス不調による休職に至った場合には、職務続行が困難になり、業務が不安定な状況のなかで体制を整えなければなりません。

管理職不在の影響が大きく、チームワークが重要な業務の場合、現場スタッフのモチベーション低下離職リスクが加速します。

連鎖退職が発生しチーム崩壊の危機に陥る

管理職がいない状況では、業務の混乱が続き、退職を検討するケースが相次ぐ恐れがあります。

もし連鎖退職が発生すると、組織の維持が困難になり、事業継続そのものが脅かされる可能性もあります。

引き継ぎができず業務が停滞

管理職が突然退職し、後任が決まらないまま放置されると間接的に法的なリスク取引先とのトラブルに発展する恐れがあります。

後任が決まらない状態では、残された従業員が管理職の業務を兼任することになり、業務過多によるミス生産性低下が避けられません。

まとめ:管理職の退職で後任がいなくても慌てない!冷静な対応が企業を守る

後任がいないなかでの管理職の突然の退職は、業務の停滞・社員の動揺・取引先との関係悪化など、企業経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。しかし事前にリスクを把握し、計画的な引継ぎを行うことで、管理職の退職による影響を最小限に抑えることが可能です。

また、管理職の退職を未然に防ぐためにも、属人化の解消や業務負担の軽減などを日ごろから行うことも有効です。

長期的な視点で対策を講じることで、企業の安定経営と持続的な成長を実現しましょう。