世界の経営者の愛読書13選|戦略・組織運営に活きる名著と選ばれる理由
世界の経営者の愛読書と位置付けられる本を読むことで、市場や文化の違いを越えて通用してきた概念を知ることができ、自身の判断基準を相対化し、より広い視野から物事を捉えられるようになります。
この記事では、世界的CEOや起業家が繰り返し手に取る名著を、自伝・伝記も含めて解説します。
※本ページは広告・PRが含まれます
1.多くのトップ経営者が繰り返し読む名著・ベストセラー
(1)プロフェッショナルの条件

『プロフェッショナルの条件』は、P・F. ドラッカーが成果を上げる個人の働き方を抽出し、労働者が自らをマネジメントする方法をまとめた一冊です。時間の使い方、強みの活かし方、貢献の定義、意思決定の原則など、成果を再現するための思考と行動を解説しています。経営者や成長したいビジネスパーソンが仕事の基準を整える入口として有効です。
| 本書のメリット | ・必要な章だけ拾い読みしやすい ・働き方の判断軸が定まる ・次に読むドラッカーが選びやすい |
(2)HARD THINGS

『HARD THINGS』は、ベン・ホロウィッツがCEOとして倒産寸前の局面を幾度も経験した実話をもとに、修羅場での経営判断を言語化した一冊です。資金ショート、主要顧客の離脱、株価急落、レイオフといった有事で、何を優先し、どう伝え、組織を保つかを具体的に解説しています。成功法則よりも良い手がない状況で最善を選ぶ力を鍛えるのに有効です。
| 本書のメリット | ・正解が存在しない局面での現実的な対処法がわかる ・経営トップが背負う孤独と責任の重さを具体的に理解できる ・危機下でも組織を前進させる伝え方と優先順位が身につく |
(3)HIGH OUTPUT MANAGEMENT

『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント)』は、インテル元CEOのアンディ・グローブが、マネジャーの役割を組織のアウトプット最大化と定義し、そのための原理と実務を解説しています。1on1、会議設計、意思決定、採用・評価、時間配分など、現場で迷いがちな論点を具体的な手順に落とし込みます。再現性のある判断軸を得るのに有効です。
| 本書のメリット | ・現場で使える手順が分かる ・管理職の優先順位が明確になる ・再現可能な判断軸が身につく |
>>Amazonで『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を確認する
(4)ビジョナリー・カンパニー

『ビジョナリー・カンパニー』は、長期にわたり卓越し続ける企業を競合比較で調査し、永続性の源泉を基本理念(コア・イデオロギー)に見いだした研究ベースの経営書です。利益は目的ではなく結果として捉え、理念を固定しつつ戦略や施策は柔軟に変えるという考え方を、18社の歴史・意思決定の積み重ねから整理します。理念設計、採用・育成、組織文化の一貫性など、短期成果よりも長期でブレない経営の軸を作りたい場面に活用できます。
| 本書のメリット | ・理念を軸に経営を設計する視点が得られる ・何を変え、何を守るかの線引きが明確になる ・長期でぶれない組織づくりの土台が理解できる |
(5)イノベーションのジレンマ

『イノベーションのジレンマ』は、優良企業が合理的な経営判断を重ねるほど、破壊的技術の台頭に対応できなくなる構造を解明した書籍です。既存顧客への最適化や高収益事業への集中が、新市場に生まれる小さな変化を取りこぼす過程を、複数の産業事例を横断しながら解説しています。持続的改良と破壊的変化の違いを理解し、新規事業の切り出し方や組織の分離といった実行上の論点をまとめたい場合にも適しています。
| 本書のメリット | ・優良企業が失敗する構造を理解できる ・持続的改良と破壊的変化の違いが整理できる ・新規事業をどう切り出すかの判断材料が得られる |
2.海外の著名CEO・起業家の愛読書
(1)睡眠こそ最強の解決策である (ビルゲイツ)

『睡眠こそ最強の解決策である』は、神経科学と臨床研究を基盤に、睡眠を脳と身体の回復・最適化を担う中核機能として再定義した一冊です。レム睡眠とノンレム睡眠の役割、慢性的不足が意思決定、免疫、感情制御に及ぼす影響を、膨大なエビデンスで体系化しています。
ビル・ゲイツ氏も本書を通じて睡眠軽視を改め、パフォーマンス向上の基盤として休養を優先する考え方へ転換したと述べています。
参考:
https://www.gatesnotes.com/why-we-sleep?com
| 本書のメリット | ・睡眠を回復と最適化の仕組みとして理解できる ・睡眠不足が判断力/免疫/メンタルに与える悪影響を把握できる ・集中力と回復力を上げる生活改善の優先順位がつく |
(2)銀河ヒッチハイク・ガイド(イーロン・マスク)

『銀河ヒッチハイク・ガイド』は、SFコメディ小説で、地球破壊という突飛な導入から始まり、宇宙を舞台にした奇想天外な出来事をユーモアに描いた作品です。文明や制度、日常的な思い込みを軽妙な風刺で取り上げ、常識から自由に発想する視点を解説します。
イーロン・マスク氏は、この作品から、答えを探すよりもどんな問いを立てるかの方が困難であり、その問いそのものを広く考えることが思考の枠を拡げる助けになると述べています。
参考:
https://x.com/elonmusk/status/1877633791356748208.com
| 本書のメリット | ・予測不能な物語運びを体感できる ・比喩と逆説による構成力を学べる ・深刻さを笑いに変える視点が得られる |
(3)あるヨギの自叙伝(スティーブ・ジョブズ)

『あるヨギの自叙伝』は、パラマハンサ・ヨガナンダが自身の精神修行とクリヤ・ヨガの実践を描いた自伝的書籍で、瞑想や自己探求の具体的な体験が解説されています。本書は精神性と直感を重視する内容で、スティーブ・ジョブズ氏が10代で初めて読み、以降生涯にわたり毎年読み返していたとされ、2011年の追悼式では参列者全員に本書が配られました。ジョブズの直感重視や内面探求の哲学に影響を与えたことを示しています。
参考:
https://www.ananda.org/blog/steve-jobs-autobiography-yogi/
| 本書のメリット | ・偉大な師との出会いから精神的系譜を理解できる ・異文化の宗教観や世界観に触れ、視野を拡張できる ・長い時間読み継がれる理由となる普遍性を体感できる |
(4)私のウォルマート商法(ジェフ・ベゾス)

『私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ』は、ウォルマート創業者サム・ウォルトンが自らの起業から世界最大級の小売企業へと導いた経緯を綴った自伝です。ウォルトンの「顧客第一」「倹約」「競合から学ぶ」姿勢といった経営原則が具体的なエピソードを通じて示され、日々の運用や戦略設計の参考になります。
ジェフ・ベゾス氏はサム・ウォルトンの哲学を深く読み込み、ウォルトンの価値観をAmazonの文化に組み込んだことが評伝で報じられています。特にウォルトンのフラジャイル(倹約)精神」と「行動へのバイアス(実行優先)は、Amazonが顧客中心・長期視点で事業を成長させる原理に影響を与えたとされています。
参考:
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/080100340/
| 本書のメリット | ・顧客中心の低コスト運営の原理が具体例でわかる ・競合の成功例を取り入れる姿勢が学べる ・小さな改善の積み重ねで事業を拡大する方法が理解できる |
(5)競争の戦略(ジャック・ウェルチ)

『競争の戦略』は、マイケル・ポーターが産業構造から収益性の決まり方を解き明かし、企業がどこで戦うべきかを示した戦略論の古典です。5フォースなどの枠組みにより、競争環境を感覚ではなく構造として把握し、差別化やコスト優位の成立条件を検討できます。GEを率いたジャック・ウェルチが掲げた業界1位か2位でなければ撤退という原則も、事業の位置取りを明確にする点で通底します。
参考:
https://scirex-core.grips.ac.jp/1/1.2.5/main.pdf
| 本書のメリット | ・戦略的選択肢と競争優位の構造を整理できる ・収益性に影響する外部環境の力学を把握できる ・ポートフォリオ戦略の検討に役立つ |
3.日本の有名な経営者の愛読書
(1)貞観政要(渋沢栄一)

『貞観政要』は、中国唐代の名君・太宗と臣下の対話を通じ、統治と組織運営の原則を示した古典です。渋沢栄一氏は本書を繰り返し読み、為政者がいかに人材を用い、諫言を受け入れ、長期安定を築くかという視点を経営に応用しました。権限を持つ立場にある者の自己規律と、組織を正しく機能させるための条件を確認する際に参照されています。
参考:
https://www.sbi-u.ac.jp/back-number/35546
| 本書のメリット | ・リーダーと部下の関係性の原理を理解できる ・組織統治に必要な姿勢が整理できる ・長期安定を実現する判断基準を学べる |
(2)論語(松下幸之助)

『論語』は孔子とその弟子たちの言行を集めた古典で、徳・礼・信・義といった人間と社会の基本原理を示す書です。松下幸之助氏はこの論語の精神を経営哲学の根幹に据え、「人間大事」「仁義礼智信」といった価値観を自らの行動規範に取り入れました。実際、松下氏の経営論では「人間尊重」と「義利合一」の考え方が重要視され、論語に基づいた人間観が企業文化形成の基盤となっています。
参考:
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/8695818
| 本書のメリット | ・短い章句から日常の判断基準が得られる ・倫理観/人間観の理解が深まる ・組織運営や人間関係の普遍原則を再確認できる |
(3)西郷南洲遺訓(稲盛和夫)

『西郷南洲遺訓』は、西郷隆盛の言行を通して、公に尽くす覚悟や私心を離れた判断の基準を示す言行録です。敬天愛人を核に、権力や利害よりも道義を優先する統治観を整理しています。稲盛和夫氏は講話や著作で本書に繰り返し触れ、経営における利他や動機の純化を学ぶ拠り所としてきました。組織を率いる立場でぶれない倫理軸を確認したい場合に参照され続けています。
参考:
https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/thinker/philosophy/
| 本書のメリット | ・公に仕える者の覚悟と自己統治の基準を学べる ・私心を抑えた意思決定の姿勢を確認できる ・危機局面でぶれない精神の置き所がわかる |
4.自分の立場と課題から読むべき一冊を選ぶ

ここでは、自身の立場や直面している経営課題を起点に、どの観点から書籍を選ぶべきかを解説します。
(1)経営戦略の視座を高めたい
経営戦略の視座を高めるには、市場と競争環境を構造として捉えることが出発点です。どの顧客にどんな価値を提供し、どこで勝ち続けるかという長期の方針を定めます。
さらに、優れた企業が資源配分とトレードオフをどう設計し、差別化やコスト優位をどこで成立させているかを検証します。産業構造や競争要因の枠組みを学び、判断基準を言語化することで、再現性のある戦略思考につながります。
(2)組織づくりや人材育成に悩む
組織づくりや人材育成に悩むときは、成長が個人の力量だけで決まらない前提に立つことが重要です。伸び続ける企業は、理念と制度を分離せず、評価・権限委譲・育成方針を一体で設計しています。どのような行動を促し、何を基準に任せ、どう学習を循環させているのかを検証することで、運用の骨格が見えてきます。
(3)変革やイノベーションを起こしたい
変革やイノベーションを志向するなら、既存事業の延長では限界が来るという前提から出発します。技術進歩、顧客行動、市場構造の変化がどの力に作用し、優位性を書き換えるのかを構造で捉えることが重要です。同時に、成功体験や既存の資源配分がなぜ挑戦を妨げるのかを検証します。兆しを早期に見抜く視点を持つことで、機会に備える判断基準が整います。
(4)日々の意思決定の精度を上げたい
日々の意思決定の質は企業の成果を左右するため、状況が変わっても機能する判断基準を持つことが出発点です。優れた経営者は経験や直感に依存せず、原則に照らして選択を行います。感覚に流されない思考の型を理解し、再現可能なルールとして運用できれば、迷いが生じる局面でも判断の筋道を保てます。
(5)リーダーとしての姿勢や哲学を磨きたい
組織の到達点は、最終的にリーダーの在り方によって定まります。制度や戦略が整っていても、困難な局面で進む方向を決めるのは責任を引き受ける人物の判断です。技術や手法では越えられない壁があることを踏まえ、拠り所となる思想や価値観を持つ必要があります。読み継がれてきた書籍は、人間観や使命感を具体的な言葉で与え、行動の根拠を支えます。長い時間に耐える判断軸を築きたいときに参照すべき領域です。
5.まとめ
世界の経営者 愛読書は、成果を出し続けるリーダーが拠り所としてきた思考と原則を学ぶための重要な入口です。自分の立場や直面する課題を整理し、戦略・組織運営・変革・意思決定などの観点から適切な一冊を選ぶことで、学びを実務へ接続できます。
さらに、読む順番や背景にある選ばれる理由を理解しながら継続的に参照することが、ぶれない判断軸の定着につながります。