SDGsに関する面白い取り組みをする企業18選|環境・社会貢献・働き方のテーマ別に解説
企業によるSDGsの取り組み事例を把握することで、環境・社会・働き方など各領域での実践的なアプローチを整理でき、自社のSDGs活動を検討する際の参考情報を得ることができます。
この記事では、SDGsに関する面白い取り組みをする企業を18社取り上げ、環境・脱炭素、社会課題解決・地域貢献、働き方・ダイバーシティのテーマ別に解説します。
1.環境・脱炭素に関する企業の面白い取り組み
環境・脱炭素分野では、資源循環や排出削減、水資源管理などを軸に、事業と結びついた多様な取り組みが展開されています。
ここでは、製品回収や再資源化、物流効率化など、企業ごとに異なるアプローチを整理し、具体的な施策の特徴を解説します。
(1)古着の回収から素材リサイクルまでを一貫して進める|ファーストリテイリング(ユニクロ)
ファーストリテイリングは、ユニクロ店舗で衣料品回収・再利用プログラム「RE.UNIQLO」を展開しています。不要となった衣料品を店頭で回収し、素材リサイクル、難民・避難民への寄贈、社会貢献団体への提供など複数の用途で活用しています。
回収品の一部はリサイクルポリエステルとして再加工され、新製品の素材に再利用されます。
この取り組みのポイント
・店頭回収による循環スキームを構築
・用途別活用で回収品の有効利用を実現
・国際機関連携で社会課題対応を実行
(2)フリマアプリを通じてCO₂削減効果を可視化する|メルカリ
メルカリは、フリマアプリを通じた個人間取引(C2C)により、新品購入の抑制や廃棄物削減につながる効果を定量的に把握・発信しています。独自の試算モデルを用いて、取引によるCO₂排出量削減や廃棄物削減量を可視化し公表しています。
これにより、サービス利用が環境負荷低減に与える影響を明確化しています。
この取り組みのポイント
・取引データを活用し環境効果を定量的に可視化
・再流通を促進し廃棄抑制の仕組みを構築
・プラットフォームを通じ循環型経済を推進
(3)コーヒーかすを堆肥・飼料に転換する循環利用|スターバックス コーヒー ジャパン
スターバックス コーヒー ジャパンは、店舗で発生するコーヒーかすを廃棄せず、農業用堆肥や畜産飼料として地域の農家・酪農家へ提供しています。従来は産業廃棄物として処理されていた資源を再活用することで、地域と連携した循環型の仕組みを構築しています。
あわせて、プラスチック製ストローの廃止やリユーザブルカップの利用促進により、店舗由来のプラスチック廃棄物削減にも取り組んでいます。
この取り組みのポイント
・コーヒーかすを堆肥・飼料として再資源化
・リユーザブル推進でプラスチック廃棄を削減
・地域連携により循環型の仕組みを構築
(4)EV配送と置き配推進で再配達によるCO₂排出を削減する|ヤマトホールディングス
ヤマトホールディングスは、集配業務における車両の電動化を進め、輸配送に伴うCO₂排出量の削減に取り組んでいます。電動3輪車など小型EVの導入を拡大し、都市部を中心に環境負荷の低い輸送体制へ移行しています。
宅配ボックスや置き配の利用を促進し、再配達の発生を抑制することで、輸送回数に起因する排出量の削減も図っています。
この取り組みのポイント
・EV車両導入により輸配送の排出量を削減
・置き配推進で再配達由来の排出を抑制
・都市型物流の環境負荷低減を推進
(5)工場の水消費量を自然に還す水源林保全活動|サントリーホールディングス
サントリーホールディングスは、製造に多くの水を使用する事業特性を踏まえ、水資源保全を重要課題として位置づけています。全国18カ所・約12,000ヘクタールの「天然水の森」で、人工林の整備や広葉樹への転換を進め、水源涵養機能の回復・強化に取り組んでいます。
水ポジティブを長期目標に掲げ、事業で使用する水量以上を自然に還す方針を示しています。
この取り組みのポイント
・水源林整備により涵養機能の回復を推進
・水ポジティブ目標で水資源の循環を強化
・森林保全を通じ水資源管理を実施
(6)廃プラスチックから微生物の力でバイオエタノールを生産する|積水化学工業
積水化学工業は、廃プラスチックをガス化し、そのガスを微生物に供給してバイオエタノールへ変換する技術をLanzaTechと共同で開発しています。従来のリサイクルでは処理が難しかった複合素材のプラスチックにも対応可能であり、資源循環の高度化に寄与しています。生成されたエタノールは燃料や化学原料として利用され、廃棄物処理と資源利用を両立する仕組みが構築されています。
この取り組みのポイント
・廃プラスチックをエタノールへ変換
・複合素材プラスチックにも対応
・廃棄物と資源利用を同時に実現
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2.社会課題解決・地域貢献に関する企業の面白い取り組み
社会課題解決や地域貢献の領域では、フードロス削減や見守り支援、教育・技術提供など、事業と社会課題を結びつけた取り組みが展開されています。
ここでは、地域や社会の課題に対して企業がどのように関与しているかを整理し、具体的な施策の特徴を解説します。
(1)フードロス食材の「ワケあり品」流通で農家と消費者をつなぐ|オイシックス・ラ・大地
オイシックス・ラ・大地は、規格外や余剰となった農産物を「ワケあり食材」として販売し、廃棄予定品の流通を促進しています。形やサイズを理由に出荷できない食材を活用することで、農家の収入機会を確保しつつ、消費者には価格を抑えた選択肢を提供しています。生産者情報を開示する直接流通モデルを採用し、食材の背景を可視化する取り組みも行っています。
この取り組みのポイント
・規格外・余剰農産物の流通を促進
・農家の収入機会を創出
・生産者情報の可視化で理解促進
(2)コンビニを地域の見守り拠点として機能させる|セブン-イレブン・ジャパン
セブン-イレブン・ジャパンは、全国の店舗ネットワークを活用し、高齢者や一人暮らし世帯向けの食事宅配サービスを展開しています。配達時の訪問を通じて安否確認を行う見守り機能を備え、行政との連携による見守り協定の締結も進めています。
ATMや行政手続き、処方薬受け取りなどの機能を拡充し、地域の生活インフラとしての役割を担う体制を構築しています。
この取り組みのポイント
・宅配サービスを通じ見守り機能を実装
・行政連携による地域支援体制を構築
・生活インフラ機能を店舗で提供
(3)クラフトビール事業で地域農業と経済を支援する|キリンホールディングス
キリンホールディングスは、地域農産物を活用したクラフトビールや飲料の開発を通じて、地域農業と地域経済の支援に取り組んでいます。地域ごとの農産物を製品化することで農家との連携を深め、地産地消型のサプライチェーンを構築しています。
耕作放棄地の活用や農家との継続的な取引関係の構築も進めており、地域資源の活用と農業の持続性向上を両立する仕組みを整えています。
この取り組みのポイント
・地域農産物を活用し製品開発を実施
・農家と連携し地産地消を推進
・継続的取引で農業基盤を維持
(4)AI技術を社会課題解決に提供する「AI for Good」|日本マイクロソフト
日本マイクロソフトは、「AI for Good」プログラムを通じて、非営利組織や行政、研究機関、スタートアップに対し、AIやクラウド技術を無償または低廉な条件で提供しています。農業、医療、防災、教育など幅広い分野において、データ分析や予測技術を活用した社会課題解決を支援しています。
「Global Skills Initiative」により、デジタルスキルの習得機会が限られる層に対して教育支援を行い、デジタル格差の是正にも取り組んでいます。
この取り組みのポイント
・AIとクラウドを社会課題解決に活用
・多分野で技術支援を展開
・デジタル人材育成を推進
(5)開発途上国への口腔衛生教育と歯ブラシ寄贈プログラム|ライオン
ライオンは、自社の口腔ケア製品に関する知見を活かし、アジアやアフリカなど口腔衛生教育が十分でない地域で啓発活動を実施しています。現地のNGOや教育機関と連携し、学校での歯磨き指導や歯ブラシの無償提供を継続的に行うことで、衛生習慣の定着と健康増進を支援しています。
自社の事業領域と社会課題を結びつけた取り組みとして展開されています。
この取り組みのポイント
・現地NGOと連携し衛生教育を実施
・歯ブラシ提供で習慣形成を支援
・事業知見を社会貢献に活用
(6)中学生以下が「最高未来責任者(CFO)」として経営に参画する|ユーグレナ
ユーグレナは、社内公募で選出した中学生以下の子どもを「最高未来責任者(CFO)」として任命し、取締役会や経営会議に参加させる制度を導入しています。未来世代の視点を経営判断に取り入れることで、長期的かつ持続可能な意思決定を行う体制を構築しています。微細藻類ユーグレナを活用したバイオ燃料や食品の開発を進め、事業と経営制度の両面でサステナビリティに取り組んでいます。
この取り組みのポイント
・中学生以下が経営会議に参加
・未来世代の視点を意思決定に反映
・事業と制度の両面で持続性を追求
3.働き方・ダイバーシティ・インクルージョンに関する企業の面白い取り組み
働き方やダイバーシティの分野では、多様な人材が能力を発揮できる環境整備が進められています。
ここでは、人事制度の柔軟化や人権対応、就業機会の拡大など、企業がどのように働き方と多様性に対応しているかを整理し、具体的な施策の特徴を解説します。
(1)100人いれば100通りの働き方を認める人事制度|サイボウズ
サイボウズは、「100人いれば100通りの働き方」を掲げ、副業・兼業、時短勤務、フルリモートなど、多様な雇用形態を選択できる人事制度を導入しています。勤務時間は15%単位で調整可能とし、育児・介護・療養中の従業員も含め、個々の状況に応じた働き方を設計できる仕組みを整備しています。
制度導入後は離職率の改善にもつながり、働き方の柔軟性と組織の安定性を両立しています。
この取り組みのポイント
・多様な働き方を制度として整備
・個別設計で柔軟な勤務を実現
・制度導入で離職率を改善
(2)男性育休取得率100%を経営課題として達成した推進体制|積水ハウス
積水ハウスは、男性従業員の育児休業取得率100%を経営課題として位置づけ、2019年度以降継続して達成しています。代表取締役社長が自ら育休取得を宣言し、経営トップが率先して取り組むことで、育休取得に対する組織の意識改革を進めています。
平均取得日数の延伸にも取り組み、形式的な取得にとどまらない実質的な育児参画の促進につなげています。
この取り組みのポイント
・男性育休取得率100%を継続達成
・経営トップ主導で制度を推進
・取得日数の延伸で育児参加を促進
(3)売上の1%を環境団体に寄付し、従業員に環境活動インターンを提供する|パタゴニア ジャパン
パタゴニアは、環境保護を事業の中核に据え、売上の1%を環境保護団体に寄付する「1% for the Planet」を継続して実施しています。従業員が環境NGOや行政機関で活動できるインターン制度を有給で認め、企業として環境活動への参加を支援しています。
加えて、保有株式を環境保護を目的とした非営利組織に譲渡するなど、企業の所有構造を含めた意思決定を行っています。
この取り組みのポイント
・売上の1%を環境団体に寄付
・有給インターンで活動参加を支援
・企業構造で環境保護を推進
(4)サプライチェーン全体に人権デューデリジェンスを実施する|花王
花王は、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」のもと、人権を経営の中核に位置づけ、原材料調達先を含むサプライチェーン全体に対して人権デューデリジェンスを実施しています。パーム油やパルプなどの調達において、森林破壊や強制労働、児童労働の有無を確認し、継続的に対応を進めています。
社内でも女性管理職比率の向上や賃金格差是正に向けた数値目標を設定し、内外の双方で人権尊重を推進しています。
この取り組みのポイント
・調達先を含め人権調査を実施
・原材料調達でリスク対応を推進
・社内外で人権尊重を実行
(5)70歳現役社会を見据えたシニア人材の活躍推進|リクルートホールディングス
リクルートホールディングスは、少子高齢化による労働人口の減少を踏まえ、シニア人材の活躍推進を人材戦略の一つとして位置づけています。65歳以降も継続して就業できる制度を整備し、経験やスキルを持つ人材が活躍できる機会の拡大を進めています。
年齢に関わらず能力と意欲に応じて働き続けられる環境づくりを進め、長期的な人材活用に取り組んでいます。
この取り組みのポイント
・65歳以降も継続就業を可能に
・シニア人材の活躍機会を拡大
・年齢に関係ない就業環境を整備
(6)アクセシビリティ技術開発で障がい者の働く環境を設計する|日本IBM
日本IBMは、スクリーンリーダーや音声認識、自動字幕、色覚サポートなどのアクセシビリティ技術の開発・改善を進め、障がいのある人が製品やサービスを利用しやすい環境の整備に取り組んでいます。これらの技術は自社製品への組み込みに加え、外部提供や標準化活動を通じて普及を図っています。
社内でも多様な人材が能力を発揮できる職場環境の整備を進めています。
この取り組みのポイント
・アクセシビリティ技術を開発
・製品組み込みで利用環境を整備
・多様な人材の就業環境を整備
4.SDGsとは?基本概念と企業が取り組む背景

ここでは、SDGsの基本的な概要と、企業が取り組む背景・意義を解説します。
(1)SDGsの概要と17の目標
SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標です。達成期限を2030年とし、誰一人取り残さないという理念のもと、17の目標と169のターゲットで構成されています。対象分野は、貧困、健康、教育、エネルギー、気候変動、産業、不平等、海洋、陸上生態系、平和など多岐にわたり、社会・環境・経済を一体的に捉えている点が特徴です。前身であるMDGsと異なり、途上国だけでなく先進国を含むすべての国が対象であり、企業、行政、市民社会、個人など多様な主体の参画が前提とされています。
(2)企業がSDGsに取り組む背景・意義
ESG投資の拡大により、企業には環境・社会・ガバナンスに関する対応と情報開示が求められています。SDGsへの対応が不十分な場合、機関投資家からの資金調達や取引に影響が及ぶ可能性があります。
また、サプライチェーン管理の観点から、取引先企業にもSDGsへの対応や情報提供を求める動きが広がっています。就職先選択において企業の社会的取り組みを重視する傾向があり、人材採用や定着にも影響する要因となっています。
(3)中小企業がSDGsに取り組む際の視点とステップ
中小企業のSDGs対応は、既存事業と結びつけて段階的に進めることが前提です。まず、自社の事業や強みを起点に関連する目標を特定し、優先領域を明確化します。
| ステップ | 内容 |
| ① 目標特定 | 事業と関連するSDGs目標を選定 |
| ② 整理・可視化 | 既存施策をSDGsに紐づけて整理 |
| ③ 実行・活用 | 支援制度を確認し施策を具体化 |
既存の取り組みをSDGsの枠組みで整理し、社内外へ発信することで対応状況を可視化します。あわせて、公的機関の支援制度を確認し、実行可能な施策へと具体化していきます。
5.まとめ
企業によるSDGsの取り組み事例を把握することで、環境・社会・働き方など各領域での実践的なアプローチを整理でき、自社のSDGs活動を検討する際の参考情報を得ることができます。自社の業種・規模・課題に合わせて参考になる事例を選び、SDGsへの取り組みを検討するための情報として活用してください。
















